The Show Must Go On!!〜映画「シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!」

皆様、生オーケストラ演奏がある舞台をご覧になるのはお好きですか?

私は大好きです。

 

 

舞台が始まる前にこういうチューニングの音を聞くの、好きですか?

私は大好きです。

管楽器の音、弦楽器の音が鳴って客席が静まり返って、幕が上がる瞬間って人生の最高の瞬間の一つだと思います。

そういうのが好きな方、ぜひご覧になってください。

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!」

 

物語は、シンプル。

スランプの売れない詩人・劇作家であるエドモン・ロスタン。

自分を買ってくれている大女優サラ・ベルナールが名優コンスタン・コクランに口を聞いてくれることになったが、サラは「2時間後にコクランに新作を持っていけ」という。

出来てもいない"新作"を考え、まっさらなノートをもち近所のカフェで頭を抱えていたが、気の利く店主との話の中でヒントを得て「シラノ・ド・ベルジュラック」を主人公にしようと決めコクランに会いに行く。

喜劇など書いたことがないエドモンはコクランの「喜劇がいい」という言葉のままに物語を考えていくが…

 

ままならない現実とエドモンが描く「シラノ・ド・ベルジュラック」の作品世界をリンクさせて、「シラノ・ド・ベルジュラック」制作秘話を描く本作。

どこまで本当かはちょっと実在のエドモン・ロスタンのことを知らないので分からないけれど、「スランプで書けない劇作家」が沢山のトラブルを乗り越えて初日を迎えるまでの裏話を描いています。

借金まみれの主演俳優、文句ばかり言う年増のヒロイン女優、衣装係に熱を上げて主人公に恋の相談をするハンサムだけど間抜けな友人俳優…などなど登場人物たちのクセも強ければ、起こるトラブルも本当に色々とつぎからつぎへとやってきて「これは本当に初日の幕が上がるのか!?」と見てるこっちがハラハラドキドキしてしまうという具合。

普段舞台を見ている人なら人でごった返す舞台裏が見られたり、台本が上がらなくて作家や役者が右往左往する様や、舞台機構のトラブルを見て「あぁー…ある…」みたいになったり出来て楽しかったりもする。そのあるあるは本来はあんまりあってはならないやつなんだけれど(笑)

 

基本は「喜劇」であるけどロマンスもあり、ヒューマンドラマもあり、歴史物でもあり…みたいに全部載せで最初から最後まで飽きることなく楽しめるのが本当にすごい。この映画がアレクシス・ミシャルク監督の監督デビュー作だとパンフで知ってびっくりしました。物語としてもすごく良く出来ている…この映画を撮る前に、この作品を舞台で上演していたのもパンフで知りました。

YouTubeで劇場が上げていた舞台の動画も見ましたがこれは舞台と映画をぜひ見比べたい…きっと舞台もすごく面白いというか転換とかどうしているのだろう…いつか見られたら嬉しいと思います。

 

今年はコロナで劇場にフルで人を入れられなかったり、なかなか劇場に足を運ぶこともままならなかったりしたので、こういう「劇場裏話」みたいなお話が見られることがまずすごくよくて、作中でも「劇場にお客さんがたくさん入っている」場面が映ったりするとそれだけで幸せな気持ちになれるし、主人公は何が起きても「3週間後に初日を迎えるのにまっさらな台本」を書き続けるし、俳優たちは舞台に立てなくなりそうでも舞台に立とうとする…そういう姿を見られることも嬉しくて。

舞台って技術が発達した現代でも基本的にはすごくアナログなエンタメの一つじゃないですか。ロボットに台本は書けないし、人間が生身で板の上に立って演じるという基本がある。

客席がいて、反応があって進化するものもあるし、そのアナログでより良いものを作ろうと足掻く人たちは誰がどんなトラブルを運んできてもその歩みを止めることはできない。これは舞台に限らず、なにかを作る人なら共感ができる部分でもあるかなあと思うんですけど。

どんなに色々なことがあっても「The Show Must Go On」はあの頃から今まで変わらない。

「何事もなく初日の幕が上がる」ことって本当に特別なことなんだなあと特に感じている2020年だからこそ、この作品は私のような人間の心に刺さるんだと思います。この作品自体は2018年の映画なんですけど、今年日本の映画館で公開してくれてありがたいなと思いました。

シラノ・ド・ベルジュラックの初演(今回の作中で描かれている)は初日から500日間400回以上も上演され続けたらしいけれど、作中でも登場人物が言っていた通り「100年後も残る」作品であり、今年はこれから宝塚歌劇団でも上演される作品なのでシラノ・ド・ベルジュラックの入門編にも本当にいい作品だなぁと思います(私も元の戯曲を読みたくなりました)

 

見てる最中に何度も心に刺さる場面や言葉もあってちょっと涙くんだりして、まぁそういうお話なのでできすぎてるところもあるのかもしれないですけど、やっぱりハッピーエンドは最高だし、これ大規模公開じゃないんで地方の方とか見るの大変かなとも思うんですけどできるだけ沢山の人に見て欲しいなと思って書き散らしてしまった…

つらい作品に疲れた人、舞台や映画好きなみなさんにこの素敵な作品が届きますように…!!

おかえりなさい、映画館。

「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」が初日から大変な動員数を記録して各所が大変な騒ぎになっていますね。

私自身も鬼滅の刃のファンなので、人で賑わう映画館に見に行ってきました。因みに推しは煉獄さんとしのぶさんです。

それは置いておいて。


このブログを読んでいる方は、ほぼ私を知っている人、Twitterでフォローしてくださっている方かなぁと思うのでご存知かと思うのですが、私はとにかくエンタメのオタクです。

特に映画と宝塚が好きです(前置き)


今年コロナでありとあらゆる劇場(映画館もここに含みます)が興行を出来なくなり、規制が解除されてからもいろんな劇場が苦しい状態だったと思います。

映画館ではずっと同じ予告編を見せられていました。あまり映画を見ない人にはピンとこないかもしれないんですけど、日頃から(少なくとも月に2〜3回以上映画館に行く)人は「なんかもうこの予告飽きたな…」ってくらい今年はずっと同じ予告を見ていたんじゃないかなと思います。

私は見てました。007とか2分の1とかいつ見に行っても今年頭からずっと流れていたなぁと。

で、ここからが本編なんですけど。

今日「鬼滅の刃」の予告編、ここ最近ではこんなに新しい予告編を見ていなかったな!!新作映画ばっかりだ!!という感じでとても嬉しかったんですよね。

今日流れた予告編です(カッコ内は予告編内で書かれていた公開日です)

10/17 TOHOシネマズ錦糸町

「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」

ワンダーウーマン1984(12/25)、夏目友人帳石起こしと怪しき来訪者(1/16)、映画銀魂 THE FINAL(1/8)、羅小黒戦記(11/7)、モンスターストライクTHE MOVIE ルシファー絶望の夜明け(11/6)、夏への扉(2/19)、シン・エヴァンゲリオン劇場版 :|| (1/23)、えんとつ町のプペル(12/25)、映画ポケットモンスターココ(12/25)、新解釈三國志(12/11)、罪の声(10/30)、STAND BY MEドラえもん(11/20)、約束のネバーランド(12/18)


14本!!14本も!!

「近日公開」とか「coming soon」とか書いてない予告編が!!14本!!ここ最近こんなに沢山の予告編を見ていなかったので、映画ファンである私は本当に嬉しくて、本編が始まる前にちょっと泣きそうになりました。

これを全国で何十万人何百万人の人が鬼滅の刃と共に見るんですよ。

これがどういうことか。ヒット映画が次のヒット映画を連れてくるんです。

もちろん地域差もあると思うので、どこの映画館でも同じ予告編が流れているわけではないですが。

もちろんまだまだコロナは油断できなくて、これからの時期はインフルエンザも怖いので、これらの作品が「本当にこの通りに公開される」という保証は全くないのですが…

少なくとも鬼滅の刃という一本の映画が、少しでも人々を映画館に呼び戻すきっかけになってくれたらいいなぁと思わずにはいられないのです。

市松は市松で快適だったんですけどね…(苦笑)

あとは鬼滅で映画館クラスターとか出ないといいな!!


お帰りなさい人で賑わう映画館。

あとは少しでも早く、洋画の大作も映画館に来るといいな…!!




以下は私が6月以降で見た映画で予告編から見られた作品の予告編のまとめです(他にも見た作品はあるのですが本編に間に合うように見た作品に関しては予告編を見ていないので書いていません)

公開日が変わったり配信スルーされたり規模が変わっちゃったり色々あったし、洋画大作が次から次へと延期やなんやしてたらアニメばっかりになったりしたな…

とにかくずっと2分の1とドラえもんの予告を見続けたな…という記録です。

他の映画オタクもずっと同じ予告編見続けたりしたでしょみんな…

新作映画の予告が見られるって嬉しいことですね。


6/7 TOHOシネマズ錦糸町

午前十時の映画祭「サウンドオブミュージック」

騙し絵の牙(6/19)、Mother、トップガンマーヴェリック(12/25)、透明人間(近日)、クワイエットプレイス(近日)、ソニックザムービー(近日)、ドクタードリトル(近日)、ランボーラストブラッド(6/26)、ペインアンドグローリー(6/19)


6/21 TOHOシネマズ日比谷

「ドクタードリトル」

今日から俺は!劇場版(7/17)、ソニックザムービー(6/26)、ムーラン(9/4)


6/25 TOHOシネマズ錦糸町

「ストーリーオブマイライフ 私の若草物語

コンフィデンスマンJPプリンセス編(7/23)、トップガン(12/25)、007ノータイムトゥダイ(11/20)、ブラックウィドウ(11/6)、透明人間(7/10)、ソニックザムービー(6/26)、ランボーラストブラッド(6/26)、ドクタードリトル(上映中) 


6/26 TOHOシネマズシャンテ

「ペインアンドグローリー」

異端の鳥(2020秋)、ジョーンの秘密(8/7)、ライドライクアガール(7/17)、バルーン奇跡の脱出飛行(7/10)、カセットテープダイアリーズ(7/3)


6/27 TOHOシネマズ錦糸町

ソニックザムービー」

劇場版鬼滅の刃無限列車編(10/16)、映画ドラえもんのび太の新恐竜(8/7)、コンフィデンスマンJPプリンセス編(7/23)、今日から俺は!劇場版(7/17)、アダムスファミリー(今秋)、2分の1の魔法(8/21)、ドクタードリトル(上映中)、モンスターズリーグ(2021年春)、トロールズミュージックパワー(10月)


7/12 TOHOシネマズ日本橋

風の谷のナウシカ

コンフィデンスマンJPプリンセス編(7/23)、今日から俺は!劇場版(7/17)、映画ドラえもんのび太の新恐竜(8/7)


7/23 TOHOシネマズ日比谷

千と千尋の神隠し

糸(8/21)、思い、思われ、ふり、ふられ(8/14)、2分の1の魔法(8/21)、映画ドラえもんのび太の新恐竜(8/7)、ムーラン(近日)


8/1 丸の内ピカデリー

ダンケルク

ワンダーウーマン1984(10/2)、TENET(9/18)


8/5 TOHOシネマズ上野

「人体のサバイバル!/がんばれいわ!ロボコン

糸(8/21)、思い、思われ、ふり、ふられ(8/14)、映画ドラえもんのび太の新恐竜(8/7)、映画プリキュアラクルリープみんなとの不思議な一日(10/31)、働く細胞!!(9/5)、東映まんがまつり(8/14)


8/10 TOHOシネマズ日本橋

ぐらんぶる

青くて痛くて脆い(8/28)、糸(8/21)、思い、思われ、ふり、ふられ(8/14)、窮鼠はチーズの夢を見る(9/11)、弱虫ペダル(8/14)


8/11 TOHOシネマズ上野

「映画ドラえもんのび太の新恐竜」

STAND BY ME ドラえもん2(coming soon)、映画クレヨンしんちゃん激突ラクガキングダムとほぼ4人の勇者(9/11)、映画ポケットモンスターココ(12/25)、2分の1の魔法(8/21)、映画プリキュアラクルリープみんなとの不思議な一日(10/31)、東映まんがまつり(8/14)、弱虫ペダル(8/14)


8/17 TOHOシネマズ日比谷

インセプション

ソウルフルワールド(12/11)、君の瞳が問いかけている(10/23)、星の子(10/9)、アダムスファミリー(9/25)、2分の1の魔法(8/21)、TENET(9/18)


8/23 TOHOシネマズ日本橋

「2分の1の魔法(吹替)」

えんとつ町のプペル(12月)、映画ポケットモンスターココ(12/25)、STAND BY MEドラえもん2(coming soon)、劇場版鬼滅の刃無限列車編(10/16)、映画クレヨンしんちゃん激突ラクガキングダムとほぼ4人の勇者(9/11)、ソウルフルワールド(12/11)、ブラックウィドウ(11/6)、トロールズミュージックパワー(10/2)、キングスマンファーストエージェント(9/25)、アニメ思い、思われ、ふり、ふられ(9/18)、Perfume Reframe THEATER EXPERIENCE with you(9/4)


9/4 池袋グランドシネマサンシャイン

海の上のピアニスト イタリア完全版」

スパイの妻(10/16)、ナイル殺人事件(10/23)、ワンダーウーマン1984(10/9)、マティアス&マクシム(9/25)、TENET(9/18)、ミッドウェイ(9/11)、チィファの手紙(9/11)


9/18 丸の内ピカデリー

「TENET」

DUNEデューン(近日)

2019年エンタメ摂取記録。

今年も1年いろんなものを見聞きしました!

2019年観劇録。

◼︎雪組

ファントム13回(新公ライビュ込)/20世紀号に乗って6回/壬生義士伝12回(新公込)/ハリウッド・ゴシップ1回/はばたけ黄金の翼よ3回

◼︎星組

霧深きエルベのほとり2回/アルジェの男1回/GOD OF STARS1回/ロックオペラモーツァルト1回

◼︎花組

CASANOVA1回/A Fairy Tale1回

◼︎月組

夢現無双5回(新公込)/チェ・ゲバラ1回/I AM FROM AUSTRIA2回

◼︎宙組

オーシャンズ11 1回

合計51公演


◼︎その他

日生劇場「Love Never Dies」/シアターGロッソ「ルパンレンジャーvsパトレンジャー素顔の戦士公演」/X-QUEST「トリコロールスター(青いザクロ)」/男劇団青山表参道X「エンドレスリピーターズ」/帝国劇場「ラ・マンチャの男」/野田地図「Q」男劇団青山表参道Xクリスマスイベント/X-QUEST「三獣士」

合計8作品


◼︎映画(映画館で見たもの)

ドラえもんのび太の月面探査記/女王陛下のお気に入り/PRINCE OF LEGEND/映画プリキュアラクルユニバース/アベンジャーズエンドゲーム (字幕吹替各1)/名探偵ピカチュウ(吹)/ルパンレンジャーvsパトレンジャーvsキュウレンジャー/プロメア/ゴジラKoM(IMAX3D)/アラジン/スパイダーマンファーフロムホーム(MX4D吹)/ミュウツーの逆襲evolution/天気の子(4回)/ライオンキング(吹)/ロケットマン/僕のワンダフルジャーニー/ワンスアポンアタイムインハリウッド/BangDream!FilmLive(発声OK)/イエスタデイ/ジョーカー/HiGH&LOW THE WORST/映画スター☆トゥインクルプリキュア/IT THE END/アナと雪の女王2(字幕1吹替2/Dolby cinema)/シティーハンター 史上最香のミッション/劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzer/ドラゴンクエスト Your Story/映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ/ヒックとドラゴン3/STAR WARS スカイウォーカーの夜明け/仮面ライダー 令和 ザ・ファーストジェネレーション/テッド・バンディ/午前0時、キスしにきてよ

合計34作品


今年見られてダントツ良かった作品は今更いうまでもありませんが雪組の「20世紀号に乗って」、次点が「ハリウッド・ゴシップ」かな…雪の別箱とても良かった…

20世紀号に関しては時間が許す限り見に行けて本当に良かったと今噛み締めています…

もっと見たかったな。

なんで円盤でないのかな。まだ遅くないよ出して…20世紀号は感想まとめブログを書こうと思ったのに書けなかったな…

お芝居として好きだったのは宝塚では「霧深きエルベのほとり」「チェ・ゲバラ」、ショーは「クルンテープ 天使の都」ですね…

まだ繰り返し見ることが叶うなら見たい…とても楽しかったので。

宝塚以外もちょっとは見に行けたけど来年はどうかしら…

映画は割と本格的にホームに戻ったな!という感じで映画館に通えました。30本以上映画館で映画見たのなんて何年ぶりかな

同じ作品何回も見に行ったり何故か天気の子(7月公開)を11月になって拗らせたりしましたけど、あれだけロングランしていて4回しか見に行けなかったの不覚だったかもしれない。

もっと早い段階でもっと見に行けば良かった。

今年は本当に映画の当たり年で、好きな作品がたくさんあって幸せでした!

「映画スタートゥインクルプリキュア」とか「映画すみっコぐらし」辺りは大人にも是非見て欲しいくらい素敵な作品で子供向けだって侮れないと思ったし、

「HiGH&LOW THE WORST」では素晴らしいアクションを堪能できたし、

アベンジャーズ」「STAR WARS」という大タイトルが同じ年に終わりを迎えるのもなんか凄かったですね。

この年末は「午前0時、キスしにきてよ」がだいぶ私の中で熱いんですけども、2が劇場公開されずに涙を飲んだ「ヒックとドラゴン3」がスクリーンで見れた喜びも噛みしめたりと割と忙しい…

エンタメたくさん浴びました!

来年もたくさん浴びたいです!!


≪番外編≫


今年買って良かったもの。

◼︎「20世紀号に乗って」のル・サンク、舞台写真その他諸々

ブロードウェイ・ミュージカル 20世紀号に乗って―宝塚ステージ写真集 (タカラヅカMOOK TAKARAZUKA STAGE COLLECTI)

ブロードウェイ・ミュージカル 20世紀号に乗って―宝塚ステージ写真集 (タカラヅカMOOK TAKARAZUKA STAGE COLLECTI)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝塚クリエイティブアーツ
  • 発売日: 2019/04/18
  • メディア: ムック

円盤が出なかったので記憶を留めるために必要なものでしたね…


◼︎画廊でお迎えした新進気鋭作家様方の絵の数々や画集

高松和樹画集 私達ガ自由ニ生キル為ニ

高松和樹画集 私達ガ自由ニ生キル為ニ

  • 作者:高松和樹
  • 出版社/メーカー: 芸術新聞社
  • 発売日: 2019/09/11
  • メディア: 単行本

今年始めた趣味のひとつ「画廊めぐり」なんですけど、混みすぎてる美術館に行かなくても素敵な絵が色々見られる上に何億とかしないので買えるんですよすごい…

家にお気に入りの絵があるとかいう幸せ…!!


◼︎リージョンフリーのポータブルDVDプレイヤー

海外のリージョンのDVDをパソコン部屋まで行かなくても手っ取り早く見るために買ったんですけど便利です!


以上!!

来年も色々なエンタメ浴びたい。

皆様良いお年を!!

砂上の楼閣に愛を込めて。【雪組KAAT公演ハリウッド・ゴシップ】

2019/10/17 11時公演観劇


【ネタバレはします】

記録的猛威を振るった台風のせいで数少ない公演が中止になったりもした今公演。

見に行けないかもしれないと思いつつ何とか1回だけでも見にいくことが出来て本当に良かった!

映画の世界をもとにした作品をここのところ見る機会が多くて、元映画オタクの血がとても騒いでしまうんですが、「ハリウッド・ゴシップ」もそんな作品のひとつでした。

簡単に言うとめちゃくちゃ刺さりました。

刺さり過ぎて、ハリゴシの記事は書かないなーと思っていたのに書いている次第です。

田渕くんありがとう!!があとからあとから湧き上がってくるので前から好きだった田渕先生のことがもっと好きになりました!!

田渕先生のことを田淵先生と書いている人(結構いる)はこの機会に田渕先生の正しい漢字を覚えて帰ってくれると私が嬉しい!!

映画の薀蓄は今回は…あんまり書かない…。


◾︎田渕先生の演出のココが好き!

・正塚イズムを感じる。

いや似て非なるものなんですけど、正塚作品にある「主役がセンターでスポットを浴びながら歌ったり踊ったりしてる間群衆が行き交う」演出が私はめちゃくちゃ好きなんですけど、田渕先生もそれやるんですよね。

ハリゴシだと1幕ラストみたいなやつ。

色んな人の人生が交錯している感じがして好き。

・主役じゃない人の人生をめちゃくちゃ深読み出来る

今回でいうとジェリーとアマンダさんですね。むしろそっちのスピンオフを見たい。見せてくれ…

ルネサンスの時には「本当はメディチ家もっと描きたいんでしょ!?尺足りなかったんでしょ!?ねえ!」ってなりましたが今回は完全にジェリーとアマンダさん。絶対田渕先生の頭の中にはあるはずなんだあの2人のドラマが…事細かにあるはずなんだ…(思い込み)

妄想の余地がある作品が大好きです。故に多少の雑さは気にならない…でもこれ合わない人絶対いると思うから一長一短ではあると思う私は好き。


◾︎ハリゴシココが好き!

・ほぼほぼ「サンセット大通り

これは加点ポイントになる人とマイナスポイントになる人いると思うけど私は加点ポイントです。

アマンダさんはノーマ・デズモンド…だって作中で出てくるサロメも同じだもの。

名匠ビリー・ワイルダーの名作なので未見の方はこの機会にぜひ…ミュージカル版もあります。


・どんどん垢抜けていくコンラッド

冒頭シーンの「これは売れない」と思うところからのアマンダレッスンからのあの化け方よ…

あと咲ちゃんスタイルがいいからスーツスタイルをずっと見ていられる至福の時間…素材がいい…わかる…

マタドールは脚が5mある(ない)


・ジェリーという世界の恋人

すごい人間味ある。いや一回しか見てないから全然まだ咀嚼しきれてないんだけども。

嫌なやつなんだけど、その振る舞いに対して受ける罰としてはいささか重いところが逆に美味しい。

命が救われたのは田渕くんの優しさと私は勝手に思っています。

ヤク漬けになる彩凪翔って多分もうあまり見る機会なさそうだからすごい貴重…

あと冒頭のスクリーンに映されるドラキュラ伯爵は反則だ…あれはずるい…


・出てくるだけで面白いきゃびぃちゃんとまっちー

役名で言え。

いや反則ですわ…ずるい…あれは…


狂言回しの愛すみれ

適材適所って言葉このためにあるんじゃないかな


・ダンスシーンを見れば納得のエステラ・バーンズ

作品によってムラがある潤花ちゃんですけど、私は今公演の彼女はとても好きです。

サロメのダンス、すごく好き。

あの場面を見ればジェリーが「スターの素質がある」と思ったのも作中で納得できたというか。

あとデュエダンがとにかく2人揃って振り付けも含めて可愛い!!

あんな振り付けは多分もう見ることないだろうな…というか咲ちゃんも潤花ちゃんもダンサーだから、ああいうタイプの振り付けされることは本当に珍しくと思った…珍しいものを見た気持ちでいっぱい…可愛かった…


・エキストラ仲間3人組

カリ様がとくにやべえ(見た人にしか伝わらない)


・カフェの客(おばあちゃん)

羽織ちゃんがとにかくすごく美味しい…


・100期の使い方

ゆめくん羽織ちゃん歌ソロパートあり、うえんつはエキストラの中でも目を惹くし、汐聖くんは短いながらダンスソロパートありで100期めっちゃ好きなのでありがたいしかなかった…



◾︎グッと来てしまったところ

・2幕のODジェリー

私、好きな俳優がたくさん薬でダメになってるんですよ。死んでる人もたくさんいる。

だからこそあの姿のジェリーを見るのが本当に辛かった。辛いと思わせてくれるほどの翔くんの演技力圧巻。

ジェリーがあの作品の先ヒース・レジャーになるのかロバート・ダウニーJrになるのかすごく考えてるけど、多分後者かなって。

後者であってほしい。


・幼い頃に見た映画を語るコンラッドエステラ

「映画スターを目指したきっかけは?」という2人の掛け合いの場面。

コンラッドが挙げた「ゾロ」を聞いて本当に泣きそうに…これ分かってて関連付けるためにそのタイトルですよね?他にもたくさんありそうなものを。わざわざ「子供の頃に見たんだ」って咲ちゃんの口から語らせるタイトルがそれとは。

『風の錦絵』『ZORRO 仮面のメサイア』 [DVD]

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エステラが挙げていたキートン、ロイド、チャップリンも言わずもがな私も散々見たし大好きなのでありがとうという気持ち(真似そこそこ上手かったのもまた良し!)


コンラッドがアマンダに別れを告げにくる雷の夜

感情なんてとうの昔に置いてきたみたいな感じでコンラッドに語りかけるアマンダさんが振り向いたらあの目元。完璧すぎる。

完璧に絵になる。余計なセリフいらないじゃんあれだけでアマンダさんの気持ちがこっちに伝わるよ最高。


・フィナーレ

5億点(ガバガバ)


◾︎ちょっと気になったところ

・冒頭出てくる作品が「椿姫」「ドラキュラ」だったので30年代の話だと思ってしまった…20年代なんだよな…

そもそもトーキーを初めて撮るからオーディションするところから始まるやつだった。


・雨唄も20世紀号もこの年代の作品だけどなんかドラマにしやすいの?そうなの?どっかで見た!!がめちゃくちゃ多い…曲も琥珀思い出したり、あちこちで20世紀号思い出したりetc…(まあ好きなので別にいい)


・ジェリーの事故からのラストまでが怒涛のナレーション力技〆だったの「尺〜〜!!」ってなった…まさかの世界大恐慌落ちだったのであの時代の予備知識がないと結構しんどいというか分かりにくいのでは…ヅカヲタは…というか雪のオタクは…幕末と革命期フランスにはそこそこ詳しいが1920年代のアメリカに多分そこまで詳しくない…かもしれない…(これは自虐です)


・お芝居のラストシーンがアステアとロジャースみたいだったのでテンション上がってしまいましたね…ああいうの好きなんで…

あの2人があんな形で出会ってなかったら、もう少し後の時代にちゃんとオーディションで評価されていたら、と思いを馳せてしまったけれどそれはあの作中では叶わない夢…。

でも幸せ。ああいうシーンが見られて。

凄く暗いオチの話にもできたはずなのに希望が見える終わり方してたので良かった。少しだけ優しい世界!


また思い出したら何か書き足すかもしれないです…。

【ネタバレなし】2019年7月19日(金)9時から「天気の子」を見たかった話。

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新海誠監督の最新作「天気の子」を昨日の夜見てきました。

私はあまりアニメに詳しくないのですが、新海誠監督の作品はほぼ漏れなく見ているので今回も楽しみにしていました。

公開日に本当は見に行きたかったけど、いろんな事情で断念して、twitterのタイムラインで流れてくるみんなの濁しまくりな感想を眺めつつ、バレを踏む前に見れたらいいかなくらいの気持ちでいたんですけど見終わってまず思ったことはタイトルの通りです。

というか私の映画オタク人生においてこの作品を公開日の初回に見られなかったこと、割と引きずるレベルだなと…

今年の夏はなかなか梅雨があけなくて(現時点で梅雨明け宣言はまだです)、夏の割にはちょっと肌寒かったりする日が続いたり、とにかく日照時間が本当に少なくて太陽が恋しい。

天候が映画のプロモを手伝うことなんてあるんだなーと笑ったりしていたんですけど。


「天気の子」は、公開初日に全館一斉公開というちょっと珍しいタイプのやつをやっていて。

2019年7月19日(金)朝9時から全ての公開館が一斉に封切りをしたんですよね。

https://www.google.co.jp/amp/s/av.watch.impress.co.jp/docs/news/1193/238/amp.index.html

これは東京にいてあの日あの時間に外が見える場所にいた私が見た景色なんですけど、あの日朝は雨が降ってて。9時にはまだ雨が降ってたんですよ。

午前10時50分くらいかな。雲が切れて陽が照り始めて。

「天気の子」の初回上映が終わる11時過ぎには本当に普通に晴れてたんですよねその後また13時くらいにはちょっと雲が多かったりしたけど。

結局夕方まで(東京の私がいた場所は)雨が降らなかった。

これもう「天気の子」という作品を見るにはあの日の9時の上映が完全に神がかってたと思うんですよ

見た人なら多分分かって…くれる…どうでもいいと思う人も多いかもしれないけど…

体験した作品を現実がお膳立てしてくれることなんて、生きててなかなか体験できることではないと私は思ってるんですよ。

神懸かってたんだなぁと思ったら本当に悔しくて!!この作品を公開初日の初回一斉上映を東京で見られた人は幸運な人だなと思います…本当に羨ましい…羨ましくてギリギリする…

私もあの日あの朝「天気の子」を見て、上映終了後映画館から出て晴れた空を見て帆高の気持ちになりたかったなあ…。


それだけの、ちょっとした覚書とあの日あの朝「天気の子」を見られなくて後悔している話。


【ネタバレはなし】アベンジャーズエンドゲームを見て色々考えた話【自分語り】

今は宝塚で一年中回しているオタクなんだけれど、一番最初に「趣味」と言えるものをもったのは映画だった。

両親ともに映画好きでWOWOWに入っていたから、小学生の時はそれこそ365日映画を見て過ごしていた。

古いものも、新しいものも、とにかくテレビをつけたらいつでも映画。

子供だから親が好きだというものを一緒に見て、自然とミュージカル映画も好きになったし、今でもチャップリンが大好きだったりする。両親とは今でも「こんな映画よかったよ」なんて話をできたりする。幸せなことだと思う。

そんな小学生女児の私が一番最初に好きになった俳優さんはショーン・コネリーだったんだけれど、2番目に好きになった俳優さんはロバート・ダウニーJr(以下RDJ)だった。

きっかけは「愛が微笑む時」という作品で、ビデオに録画して擦り切れるほど見て再生できなくなり、当時は小学生でお金がなかったからレンタル中古のワゴンセールでビデオを買ってきてそれもテープがガッタガタになるまで見た。

DVDが出た時もすぐ買った。多分この先(ないと思うけど)BDで復刻リリースなんかされたりしたらきっとそれも買うと思う。

彼のキャリアの中では本当になんというか、ありがちな感動作というか、そういう内容の作品だなぁと今では思うんだけど、それでも大好き。今でも大好き。

そんな風にRDJと私が出会ってから今年で25年経った。

映画オタクとしてはまだまだ若輩者の25年程度のファンだなーということに気付いた。


先日公開された「アベンジャーズ エンドゲーム」を見てきて、この11年を振り返りつつ映画館で身体中の水分が抜けるんじゃないかと思うくらい泣いたんだけど、ちょっと経って冷静になって既に見た人の色んな感想を見聞きして今すごく色々考えている。

私がアベンジャーズに手を出したのは言うまでもなくRDJがアイアンマンをやったから。(あとは映画一作で降りてしまったけどこれもまた私が大好きなエドワード・ノートンがハルクやってたからってのもあるけどここではあまり関係ないから割愛する、そういえばハルクはタイトルロールの映画1作しかやってないんだな…)

アイアンマンを初めて試写会で見たあの時から11年経った事にもびっくりしたんだけど、あの頃はあのジャンルはバットマンとかスーパーマンとかダークマンとかブレイドとかヘルボーイくらいしか見たことなくて、まずDCとかMARVELの違いもわかってなかったし、こんな長く続くプロジェクトだってのも全く分かってなかった。

今となってはRDJとアイアンマンの出会いにひたすら感謝するしかないオタクと化しているし、映画好きでよかったなという気持ちでいっぱい…。


子供の頃SWep4をテレビで見て、父が「これ公開の時に見に行ったんだよ」って言うのが羨ましかった。

大脱走」や「ポセイドン・アドベンチャー」を朝から晩まで映画館に篭って見ていたという父が羨ましくて仕方なかった。

映画館の娘さんと友達だったという母が、「サウンドオブミュージックを映写室から見てたんだ」っていうのが羨ましかった。ニューシネマパラダイスじゃん…!

私も映画を長く好きでいたらいつか、子供に「お母さんはあの映画を映画館で見たんだよ」って自慢できる日が来るかなと思っていた。

そういう伝説に立ち会える瞬間を、映画好きの私はずっと待っていたんだと思う。

だって毎年見きれないほど沢山の作品が公開されて、その中で何十年も映画オタクを白熱させる作品ってそんなにない。

ROTRとかハリポタなんかもそういう伝説だと思う。


私にとってそういう風に言える作品は「タイタニック」とか…「THIS IS IT」かな…あとは最近だとボラプ…と思っていたし、実際タイタニックとかはそういう風に語り継ぐに値する作品だとも思っているんだけど、ここに新しく本当に「伝説」が加わったと心から喜んでいたりする。

エンドゲームでひとまず終わりを迎えた「アベンジャーズシリーズ」はそういう作品だったと思う。

映画ファンが熱狂して、映画ファン以外の人が「なんかすごいらしい?」「どこから見たらいい?」ってなる伝説。

だっていまだにSWだって「どの順番で見たらいいの?」問題発生してるじゃん…

アベンジャーズ、今興味持った今まで見てこなかった人たちが「どこから見たらいいの?」ってなって拗らせたオタクが「可能なら全部みろ、全部だ」みたいになって新規参入勢が「えぇ…?」みたいになってるのをツイッターでめちゃくちゃ見かけるけど、オタク冗談じゃなく本気で「見れるなら全部みろ」って言ってるから。

それは勿論私もそうした方がいいと思うんだけど、私は「映画館で映画を見る」ことに重きを置いているタイプのオタクなので敢えて「わかんなくていいからとりあえずエンドゲームを映画館で浴びてから見たいとこから見て欲しい」っていうスタンスで行きたい…。あとから映画館で見たかったなって思ってもなかなか見れないじゃん…?

勿論「別に映画館じゃなくても…」って人には無理に映画館でみろとは言わないのでアイアンマンから全部見てからエンドゲーム見て欲しい。地層のように積み上げたフェーズを全部解放された時エモさに弱いオタクは間違いなく死ぬ。

出演者のインスタやなんかを眺めつつ、この11年間を考えていて、「いつかSWのような伝説に立ち会える日が来るのかな」と思っていた少女の私に伝えたい。

「ちゃんと伝説に立ち会えるからずっと映画好きでいて」って。


2回目早く見に行きたい(;´д`)

元映画オタク視点から見た「20世紀号に乗って」のアレコレ

シカゴからニューヨークの旅、皆様楽しんでいらっしゃいますか?もう終わるけど。

TCAに円盤化もしくは音源販売は無理と言われてしまったので版権元に拙い英語で何とかならない?と問い合わせたら「無理だよ」と言われてしまい、ここまでして無理なら仕方ないね!!となっている私です。


ところで私、宝塚にハマる前は映画のオタクだったので(オタクいつも何かにハマっていがち)、今回の「20世紀号に乗って」は映画オタク視点でもかなり楽しんでいるんですけども、友人にその話をしたら興味深く聞いてくれたのでここに適当に書き残しておきたいと思います。

宝塚で最近再演された「雨に唄えば」がトーキー映画が出てきたあたり。1920年代後半を舞台にした作品(ジャズシンガーが公開されたのが1927年なのでそのくらいですね)でしたが、本作は1930年代半ばくらいが舞台だと勝手に思っています。正確な年数は分からないんですけど。

1932〜35年くらいが舞台だとちょっと面白いかなと勝手に思っています(Twitterで教えてくださった方がいました!1932年が正解のようです。ありがとうございます!)


というのも、リリーが電車に乗る時に記者の皆さんから投げかけられている質問

フランク・キャプラ監督の次回作に出演するのか」

は、その年代だった場合リリーが出演されると噂されている「次回作」が名作「一日だけの淑女」(本作は1933年アカデミー賞主演女優賞受賞作)とかこちらも傑作スクリューボールコメディ「或る夜の出来事」(本作も1934年アカデミー賞主演女優賞受賞作)の可能性があるし、

グレタ・ガルボと仲が悪いという噂は本当か」

に関しても、あの当時のグレタ・ガルボがどのくらいの大スターだったかを考えるとめちゃくちゃニヤニヤ出来るんですよね。

グレタ・ガルボといえばサイレントからトーキー期にかけての銀幕の大スター女優です。

宝塚でも上演されている「グランドホテル」(1932年)、「アンナ・カレニナ」(1935年)のほか、サイレント期の名作でものすごく美しい「肉体と悪魔」(1926年)、「マタハリ」(1931年)、「椿姫」(1936年)などなど数々のMGM作品に出演していて、そんな大スターと並んで評されるリリー・ガーランドという女優がどれほど大女優としてあの作品内で扱われているかということが分かればあのコミカルな「乗ってくる乗ってくる乗ってきた乗ってきた♪」の曲の乗客のテンションも分かりやすいかと思うんですよ。

そして「リリーのサイン入りの契約書があればどこの銀行もお金貸してくれる」の現実感もすごくわかりやすくなると思う。

当時の銀幕のスターっていうのは雨唄でも分かる通り人通りに出ようものなら囲まれて大変という有様だったようだし、まさに次元が違う扱いをされていたんですよね。


あとリリーが「ルイス・B・メイヤーもいらないわ!CもDも!」というような場面がありますが、この「ルイス・B・メイヤー」も実在の人物で、MGM(映画配給会社)のプロデューサー。

MGMと言えばミュージカル映画好きにはお馴染み(と勝手に思っている)

オズの魔法使」(1939年)、「イースターパレード」(1948年)、「踊る大紐育」(On the Townですね、1949年)、「アニーよ銃をとれ」(1950年)、などなど、あとは「ザッツエンターテインメント!」(1974年)辺りはミュージカル映画が好きな人なら見たことあるんじゃないかなと思う。

そのMGMの全盛期を盛り上げた神の如きプロデューサーであるルイス・B・メイヤー。

発掘した俳優はグレタ・ガルボクラーク・ゲーブルジュディ・ガーランド、ジョン・クロフォードなどなど

「星の数ほどのスターがMGMにはいる」と言われたほどの黄金期。その中の1人がリリーだと思うと映画オタク的にはもうワクワクが止まらないところ。

話の中で「パラマウントに移籍するのか?」とリリーが聞かれている場面があったので多分リリーはMGM所属の女優だと思うので。

そんな黄金期の映画会社に囲われて天才プロデューサーに見初められている(と思われる)リリーが「私は自分がやりたい時にやりたいことをやる」「ルイスBメイヤーはいらない!」ってなるのって物凄いことだし、会社の大権力者に楯突いて独立して自分の会社で映画なんか撮ろうものならそれこそブルースちゃんが心配するように「干される」と思う方が現実的なんですよね。

そこがリリーのかっこいいところであって情熱的なところだと本当に思うんですよ。

ハリウッドって今この時代においても性差別だとか(男女の俳優でのギャラの差とか)セクハラ問題でつい最近も噴き上がっていましたが、当時女優の地位って今よりもっともっと低くて、きっと今よりもセックスアピールを要求されたりだとかそういう闇もあったはずで、その中でリリーのような女優はきっと居づらかったとも思うし扱いづらくもあったはずだと察せるんですよね(勝手に)。

因みにルイス・B・メイヤー、宝塚オタク的には「ラスト・タイクーン」の主人公のモデルになった人だと思ってみるとまたちょっと楽しめると思います。



それと耳に残るfive-zerosの曲から。

200万ドルだった小切手。

舞台はよくわからないから映画視点から行くと、皆様ご存知「風と共に去りぬ」(1939年)ですがこちらの製作費が390万ドル。町を一個作って燃やすみたいなことやってた映画なので、映画視点から考えるとインターミッション込みの3時間の大作で町を燃やさなければ200万ドルでもなんとか作れると思います。

ただテーマが「マグダラのマリアの受難」ですね。

宗教物映画視点から考えてみましょう。

十戒」(1956年)の製作費、1300万ドル。

2000万ドル、「マグダラのマリアの受難」を映画として撮るなら無難な額だと思います!!!舞台は知らないです!!!

今なら海を割るのもイエス・キリストが磔にされて復活を遂げるのもCGと特殊メイクでどうにでもなるでしょうけど当時基準で考えるとエキストラの人数と特殊撮影にかける金額考えただけで目眩がしますね。

映画「特急二十世紀」の中のオスカーはリリーにマグダラのマリアをやってほしいと口説く時に「砂漠から本物の砂を取り寄せよう。ラクダもだ!」みたいなこと言ってましたけどそういう勢いでセットにお金使ってたら舞台でも2000万ドルくらいすぐ使い果たせそうな気はします。知らんけど。


1番の問題は1930年代、MGMやパラマウントが台頭して娯楽作品を観客が求めていた時代に舞台にしても映画にしても余程のもの作らないとオスカーが作りたいような「マグダラのマリアの受難」が多分観客に全く受けなさそうということですね…オスカーさん5連敗の方が現実的だよ…

リリーの情熱×オスカーの情熱が組み合わさったらすごいものが見られそうな気はします。

多分マックス・ジェイコブスのような時代感覚を掴む才能があった人の方がオスカーよりも売れるものは当然作れたと思うんだけれど、リリーが惚れ込んでいたのはオスカーの方だと思うと結構ニヤニヤできます。



その他。

リリー・ガーランド。名前の元ネタは「百合の花束」とか上にもあげた「ジュディ・ガーランド

そして本作中にも名前が出てくる作家サマセット・モームの作品「人間の絆」の中に「ミルドレッド」という女性のキャラクターが出てくるということを色々調べてて知ったのでちょっとニヤニヤしました。ミルドレッド・プロツカ、リリーの本名ですね。

本作の作家さんがどこまで狙ってやってるのか分からないですけど。

あとオスカー、リリーとかにもモデルになる人物がいるんじゃないかなぁと勝手に思って調べてみたんですけどあんまりそれっぽい人物は見つからなかったです。

ただマックス・ジェイコブスはなんとなくジョージ・キューカーっぽいなと思ったのでここに書いておきます。

ジョージ・キューカーサマセット・モームと親交があった映画監督で前述のガルボの「椿姫」や「マイフェアレディ」なんかを撮ってる監督です。MGMとも関わりが強かったのと、女優さんを魅力的に撮る事に定評がある監督さんなので。なんとなく。


そんな映画オタク視点からの20世紀号の楽しみメモでした。